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遺言書って作る必要ある?遺言書の作成を考えるたった1つの基準


 「遺言書について興味があるけど、そもそも自分が作る必要があるのか」

 
このようにお悩みの方も多いと思います。

 
遺言書作成自体は必須ではありません。

 遺言書のない場合の相続手続きの仕方も
決まっいます。

 
そこで、本稿では、遺言書がない場合の相続、遺言書の作成を悩む理由、作成を検討する基準について解説いたします。

 動画解説もぜひご覧ください。
 

1、遺言書がない場合の相続 ー 遺産分割協議の必要性


 遺言書とは、自分の財産とその承継者につき遺言者自身により記載されたもので、法的効力のある文書です。

 
遺言者の最終意思を尊重するものであるため、相続手続きにおいて相続人全員が遺言書の内容に反対しない限り、遺言書の内容が優先します。

 
では遺言書がない場合、相続はどうなるのでしょうか?

 
亡くなられた方の財産の分け方について決定されたものが存在しないため、相続人全員で財産の分け方を決めるという遺産分割協議をする必要があります。

 
そして、基本的には、その協議結果を遺産分割協議書という法的効力をもった文書にしなければなりません。

2、遺言書の作成を悩む理由

自分はまだ若い


 「日本人の平均寿命は80歳を超えているのに、その平均寿命より10年以上若い自分が死後のことを考える必要があるのか?」

 
亡くなる直前には今の気持ちや状況は変わっているのではないか?」

 
「その頃に遺言書を作成してもいいのではないか?」

 
このように考えられる方も多いと思います。
 

 ●認知症になったら遺言書を作成するのは困難


 遺言書を書くには、一定の判断能力が必要となります。

 その能力を遺言能力というのですが、高齢になり認知症と診断されると、遺言能力が否定され遺言書を作成できなくなるのが通常です。

 
このように、遺言書は寿命を迎えるまでいつでも書けるものではないので、心身とも健康なうちからその作成を検討しておくべきでしょう。
 

 ●遺言書は何度でも書き直しできる


 遺言の内容について、後に違ったものに変えたい時は、新たに遺言書を作成すれば内容が抵触した部分は新しいものが優先されます。

 
また、遺言書で「長男に不動産を相続させる」と書いておきながら当該不動産を生前に売却した場合、遺言を撤回したものとみなされます。

 
遺言を書いたからといって、その後の財産処分や意思につき、遺言の内容に拘束される必要はないのです。

揉めるほどの財産もない


 「自分には世の富豪と呼ばれる人のような何億といった財産がないのだから、相続手続きで相続人間で揉めることもないだろう」

 
「そのため、遺言で財産を誰に
相続させるといったことを決めなくてもいいのではないか?」

 
こう考える人もいらっしゃいます。
 

 ●遺産額が小さいから揉めないというものではない


 相続手続きの遺産分割調停において、3割以上が1000万円以下の遺産額とされいます。

 遺産額が大きいから揉めるわけではなく、遺産の種類や相続人間の関係性
よっても相続手続きは揉めます。

 
具体的には、不動産・車等分割が困難な遺産が占める割合が大きい場合や、相続人の中に10年以上連絡をとっていない者がいる場合等です。

 
遺言書がない場合の相続手続きは相続人全員の合意が必要です。

 相続人の1人が
不平等性を感じたり、相続人間で不信感が生じてしまったりすると合意を得るのが難しくなるのです。

生きているうちに死後のことを考えたくない


 遺言書を作成すると死んでしまいそうで嫌な気分になるという方は多くいらっしゃいます。

 作成を躊躇する理由としては1番多いものかもしれません。

 
おそらく遺言書を遺書のようなものと考えているのだと思います。

 
遺書が、死後のことを考え家族等残された方へ伝えるメッセージであるのに対して、遺言書は、亡くなった後の財産の承継先を決めるもので、家族を困らせないために作成しようとするものです。

 家族のためを思うからこそ作成するものといえます。

 
とはいえ、初めに遺言書を作成するのは気が重いという方もいらっしゃるかと思います。

 
そのような方には、エンディング・ノートを記入してみて、自分の状況や気持ちを整理することをオススメします。

 
自分のことを書いて気持ちがすっきりして前向きになられる方も多くいらっしゃいます。

 
その上で、遺言書を作成するかを考えてみてもいいのではないでしょうか。

遺言書作成の費用がもったいない


 遺言書の費用については、公正証書遺言という公証役場で作成する遺言の場合、手数料で数万円かかります。

 専門家に文案・交渉・同行を依頼すると通常10万円
以上かかります。

 
これらの費用は、相続開始後の手続き費用の前払いと考えればもったいないという気持ちも薄れるのではないでしょうか。

 
どうしても費用をおさえたいなら、自分で作成する自筆証書遺言の作成にしておくという手もあります。

 これなら専門家にサポート依頼しても通常数万円ですみます。

3、「自分の最終意思を相続に反映させたい」か否か


 遺言書の作成を検討すべきかは、「自分の最終意思を相続に反映させたい」か否かです。

 
遺言書がなくても相続手続きはできます。

 ただ、その場合は相続人全員の話し合い
により遺産の分け方が決定します。

 
財産の分け方につきこれといった意思がなく、残された相続人で話し合って遺産を分けてほしい場合は、遺言書を作成しなくても大丈夫です。

 
ただ、もし財産の分け方について意思があるのなら、あなたが正しい方式で遺言書を作成しておけば、遺言書を作成した時のあなたの意思が相続に反映されるのです。

 
面倒見てくれた長女に多くの財産を残したい」

 
妻に全ての財産を渡したい」

 
血縁関係のない方に自分の財産を渡したい」

 
これらの意思は遺言書を残すことによって、相続に反映させることができます。

 
また、遺言書は、残された人たちに思いを伝え、手続きの負担を減らすことができるものです。

 
あなたが「自分の最終意思を相続に反映させたい」のなら、遺言書の作成を強くオススメします。
 

執筆者 森俊介

行政書士森俊介事務所 代表行政書士 

『相談者に寄り添う相続とすること』がモットー。触れた相談事例は2000件以上。相続を取り扱う司法書士・税理士・弁護士と連携しワンストップサービスを築く。各地でセミナー相談会を実施中。Youtube・Twitterでも相続・遺言情報を発信している。

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