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◆ 相続放棄したい 放棄にも手続きが必要なの?
執筆者 森俊介
行政書士森俊介事務所 代表行政書士
『相談者に寄り添う相続とすること』がモットー。触れた相談事例は2000件以上。相続を取り扱う司法書士・税理士・弁護士と連携しワンストップサービスを築く。各地でセミナー相談会を実施中。Youtube・Twitterでも相続・遺言情報を発信している。
「相続により財産を取得したくない、放棄したい」
そういう気持ちの相続人も多いと思います。ですが、相続を放棄したいと思ったり、言ったりするだけでは放棄したことにはなりません。
そこで、相続を放棄したいという相続人がすべき手続きについて解説します。
動画もぜひご覧ください。
亡くなられた方に大きなマイナスの財産がなく、相続人が複数いて他の相続人に財産を譲りたい場合、家庭裁判所への相続放棄ではなく、事実上の相続の放棄(遺産放棄)を行うことをオススメします。
法律に普段携わっていない一般の方が、「相続を放棄したい」という場合、遺産分割協議にて自身が財産を取得しないという事実上の相続の放棄(遺産放棄)と、借金もチャラにできるがはじめから相続人でなかったことになる家庭裁判所に申述する正式な相続放棄の2つを混同して考えていることが非常に多いです。
注意していただきたいのは、家庭裁判所への相続放棄は、認められると初めから相続人でなかったことになるため、非常に重いものです。
遺品の中の財産的価値のあるものを取得することも許されなくなります。
そこで、亡くなられた方に借金がありマイナスの財産の方が大きい場合でなければ、基本的に事実上の相続の放棄をオススメします。
亡くなられた方に借金がありマイナスの財産が大きい場合、このような債務は遺産分割協議で誰か1人が負担してもそれは相続人間でしか効力がなく、債権者からは他の相続人に対してもその借金を支払うよう請求することができます。
このような債務から免れるには、家庭裁判所への相続放棄を行う必要があります。
家庭裁判所への相続放棄は、認められると初めから相続人でなかったとみなされるため効果の重いものです。
そのため、適宜の方法でできてしまったり、期限なくいつでもできてしまったりすると、権利関係が不安定になってしまいます。
よって、法律上手続の要件と期限が定められています。
具体的には、相続放棄をしようとする者は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にその旨を家庭裁判所に申述しなければなりません。
相続放棄の申述は、亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所に対して行います。
必要書類としては、申述書、亡くなられた方の住民票の除票もしくは戸籍の附票、死亡の記載のある戸籍謄本、申述人の戸籍謄本、申述人と亡くなられた方の関係性がわかる戸籍謄本等です。
先順位の相続人が全員相続放棄をした場合、次の順位の方が相続人になります。
たとえば、亡くなられた方の子全員が相続放棄をした場合、亡くなられた方の親が相続人となります。
なぜならば、亡くなられた子全員は相続放棄が認められたことにより初めから相続人でなかったことになり、次の順位者へ相続権が移るためです。
次の順位の方も相続放棄をする場合、同様に家庭裁判所に対して相続放棄の申述を行う必要があります。
この場合の期限も3か月以内ではありますが、先順位者の相続放棄が家庭裁判所に受理されたことにより、自身が相続人になったと認識してから3か月となります。
相続開始後3か月以内である必要はありません。
配偶者・第1順位から第3順位の全ての相続人が相続放棄した場合、遺産を受け継ぐ相続権はなくなりますが、ケースによっては最後の放棄者に不動産の管理責任が残ることもある点に注意が必要です。
相続放棄は、主張される相続人の考えを鑑み、事実上の放棄(遺産放棄)か家庭裁判所への相続放棄か選択する必要があります。
また、後者の場合、後順位者の相続人の有無や意向も重要になります。
相続放棄は人生を大きく変える重要な手続きですので、専門家に相談してから方針を決めることをオススメします。
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