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◆ 遺言書があるけど相続手続きにかかわってくるの?遺言書がある場合の相続について解説します
遺言書がある場合、通常の相続手続きの一連の流れとは異なった手続きを経る必要があります。
そこで、本稿では、遺言書がある場合の相続手続きについて詳しく解説します。
動画解説もぜひご覧ください。
遺言書があっても遺産分割協議ができる場合
自筆証書遺言・秘密証書遺言は、相続開始後、家庭裁判所で検認手続きを経なければなりません。
自筆証書遺言については、自筆証書保管制度を利用していれば検認は不要です。
検認とは、相続人等に対し遺言の存在を通知するとともに、遺言書の形状や内容等を明確にし、後日の偽造・変造・隠匿・滅失等を防止し、遺言書を確実に保全するための手続きです。
このような証拠保全の手続きにすぎないので、当該遺言書の法的効力の有無を判断する手続きではありません。
当該遺言が有効か否かは、各手続窓口で遺言書を提出してはじめて判断されます。
検認は、遺言の保管者・発見者が申立人となります。
亡くなられた人の住民票上の住所の家庭裁判所に申し立てることとなり、法定相続人を確定させる戸籍や住所証明の書類等が必要書類となります。
ちなみに、封印されている遺言書は、検認前に勝手に開封すると5万円以下の過料がかされる可能性があります。
検認期日当日の手続きと検認済証明書の交付
遺言書において、承継させる財産の書き方は2つあります。
相続人が長男・次男のみのとき、「全財産の2/5は長男、3/5は次男に相続させる」という内容の包括遺贈と、「●●銀行〇〇支店の預金全ては長男、実家の不動産は次男に相続させる」という内容の特定遺贈です。
すなわち、財産を割合で指定する方法が包括遺贈、財産を特定しそれぞれについて承継先を指定する方法が特定遺贈となります。
どちらの書き方も遺言書の書き方として認められており有効です。
もっとも、「全財産の2/5は長男、3/5は次男に相続させる」という内容の遺言書であった場合、不動産もこの割合で共有し、預貯金も各金融機関ごとにこの割合で相続するのか、全財産の2/5にあたる不動産は長男が取得し、預貯金は次男が取得するのか、金融機関・法務局側から判断することができません。
そこで、特に金融機関で預貯金の解約払戻しを行うためには、長男・次男が話し合って誰がどの財産を取得するかを決める遺産分割協議が必要となります。
そして、その協議結果を遺産分割協議書に載せることとなります。
遺言書の内容が判明しその内容通りの手続きを行っても、一定の期間相続人による遺留分侵害額請求がなされる可能性があることに注意すべきです。
遺留分とは、亡くなられた人による遺贈・贈与により、自身の法定相続分を充足する相続財産を承継できない相続人において、一定の割合でその承継が保障された部分をいいます。
民法上、兄弟姉妹以外の相続人は遺留分の権利が認められます。
その割合は、第2順位の直系尊属のみが相続人となる場合は法定相続分の 3分の1 、その他の場合は 2分の1です。
遺留分を侵害された相続人は、受遺者や受贈者に対し、その侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます、これを遺留分侵害額請求権といいます。
遺留分侵害額請求権は、相続開始及び遺留分侵害の遺贈・贈与があったことを知ったときから1年、もしくは相続開始後10年を経過すれば時効となります。
遺留分侵害額請求権を行使するには、相手方にその意思表示を行う必要があるので、証拠として残すという意味でも内容証明郵便を送って伝えることが多いです。
以上、遺言書がある場合の一連の相続手続きの流れを解説しました。
遺言の内容や有効性で手続きも変わってくるので、専門家に相談しながら手続きを行うことをオススメします。
執筆者 森俊介
行政書士森俊介事務所 代表行政書士
『相談者に寄り添う相続とすること』がモットー。触れた相談事例は2000件以上。相続を取り扱う司法書士・税理士・弁護士と連携しワンストップサービスを築く。各地でセミナー相談会を実施中。Youtube・Twitterでも相続・遺言情報を発信している。
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