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◆ 遺言書は自分で書いてもいいの?自分で書く場合の注意点


 「遺言書を自分で書きたいけど、書き方はあるのか?間違えたら無効となるのか?」

 
遺言書はもちろん自身で書くこともできます。

 
もっとも、その要件は法定されております。

 要件を満たさないと、相続開始後いざ遺言書を使って手続きしようとしても、形式的に無効とされてしまいます。

 
そこで、自身で遺言書を書く際の要件、注意点を解説します。
 

1、自分で書く遺言書(自筆証書遺言書)


 自分で書く遺言書は、自筆証書遺言といいます。

 もちろん、このような遺言書にも
法的効力が認められます。

 
ただし、要件が法定されています。

 また、相続開始後遺言を使用して手続きを行う場合、
法務局での保管制度を利用していた時を除いて、検認という手続きも必要となります。

 
検認という手続きは、申立人が亡くなられた方の住所の家庭裁判所に出向いて行わなくてはならないため、面倒だとか、仰々しい等思われる方もいらっしゃいます。

2、自筆証書遺言の要件


 自筆証書遺言は、形式的な要件が法定されており、法的効力を有するためには要件を全て満たす必要があります。

 
要件としては、

 
①    全文自著

 
②    氏名の記入

 
③    日付の記入

 
④    印を押すこと

 
があります。

 これらの①~④を満たさなければ、当該遺言書は形式的に無効となります。

 
① 全文自著 についてですが、2019年の相続法改正により、財産の一覧表である財産目録については、全て自著しなくてもよくなりました。

 パソコン等で作成することも可能です。

 
ただし、その場合であっても、当該財産目録の全てのページに遺言者が署名・押印しなければなりません。

 
② 氏名の記入 について、遺言者自身の氏名を記入しなければなりません。

 
③ 日付の記入 について、遺言書を作成した特定の日付を記入しなければなりません。

 「●月吉日」の
ように、特定できないものは通常認められません。

 
④ 印を押すこと    について、遺言者の印を押さなければなりません。

 実印はもちろん、認印でも
認められます。

 もっとも、花印の遺言書が無効であると判断した最高裁判所の判例がありま
す。

 封筒に遺言書があり封がされており、その封がされている部分に印がなされていた場合、
認められたことがあります。

 
単純に記載では要件を満たしていないように見えても、遺言書の制度趣旨は遺言者の最終意思の尊重ですので、文書や保存方式から特定が可能でしたら、②~④は認められる余地があります。

3、遺言書の表現に注意


 自筆証書遺言は、遺言者自身が書くものですので、実に様々な記載があります。

 
以下、法的効力の有無の判断がつきにくい表現を紹介します。

解釈が困難な表現


 「私の死後のことは一切長男に任せる」といった記載のことです。

 
「死後のこと」を「任せる」とはどのような意味でしょうか?

 
葬儀等について任せるのか、財産の配分を任せるのか、全財産を相続させることなのか、財産を全て長男に渡したいのならば、「私は、私に属する一切の財産を、●●●●(昭和〇〇年〇月〇日生)に相続させる」などと明記してください。

相続後の相続についての表現


 「私の不動産を妻に相続させ、その後妻の死後は長女に相続させる」といった記載のことです。

 
確かに遺言書は自身の財産の行先を指定することができますが、それは1代限りです。妻に渡った不動産をどうするかは妻の自由なため、「その後妻の死後は長女に相続させる」という部分は無効となります。

異なる解釈が生じる可能性のある表現


 「私の家は次女に相続させる」といった記載のことです。

 
「家」とは通常建物を指しますが、その建物の建っている土地も遺言者が所有している場合、土地も次女に相続させる趣旨でしょうか。

 この文言だと異なった解釈が生じ得ます。

 
不動産についても、具体的に特定しておくことが望ましいです。

 不動産の情報は、全て
当該不動産の謄本(全部事項証明書)に記載されていますので、遺言書にそのまま書き写しましょう。

4、最終的な有効無効はどのように判断されるか


 ある自筆証書遺言が法的に有効か無効かを判断するのは誰でしょうか?

 
検認手続きを行う家庭裁判所?相続人?弁護士等の専門家?

 
正解は、実際にその遺言書で相続手続きを行う金融機関、法務局等です。

 つまり、実際に
窓口で遺言書を使用してみないと、その遺言書が使えるか否かの最終的な判断はできないということです。

5、まとめ

 
 以上、自身で遺言書を書く際の要件、注意点について解説いたしました。

 
自筆証書遺言書の作成件数は増加していますが、実際手続きで使うのが困難なものも多いです。

 遺言者の意思を反映するため、遺言書の作成は専門家に依頼することをオススメ
します。
 

執筆者 森俊介

行政書士森俊介事務所 代表行政書士 

『相談者に寄り添う相続とすること』がモットー。触れた相談事例は2000件以上。相続を取り扱う司法書士・税理士・弁護士と連携しワンストップサービスを築く。各地でセミナー相談会を実施中。Youtube・Twitterでも相続・遺言情報を発信している。

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2017年 行政書士取得

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