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◆ 相続人の中に認知症等の成年被後見人と成年後見人がいる場合の相続手続きについて
相続人の中に認知症の方がおり、その方がすでに成年被後見人となっています。
そして、成年後見人が他の相続人であるケースです。
このような場合、相続手続きをどのように進めればいいのか、以下解説いたします。
目次
1、相続人の中に成年被後見人と成年後見人がいる場合の問題点
・利益相反となる
・成年後見人は成年被後見人の遺産分割協議を代理できない
・特別代理人とは
・特別代理人申立ての注意点
・特別代理人選任から遺産分割協議終了まで
3、まとめ
・成年被後見人と成年後見人が相続人の場合の相続手続きは特別代理人申立てから
原則として、成年後見人は、その成年被後見人の代理人として、法律行為を代理することができます。
遺産分割協議も法律行為ですので、判断能力を欠いている成年被後見人は協議することができません。
そこで本来は、成年後見人が被成年後見人を代理して遺産分割協議を行うこととなります。
しかしながら、当該相続において、成年被後見人と成年後見人が共に相続人となる場合、成年後見人は代理人としての立場と本人としての立場で利害が対立します。
すなわち、本人の取得分を増やすことによって、成年被後見人の取得分を減らすことができます。
また、本人の取得分を減らすことによって、成年被後見人の取得分を増やすことができます。
このように、ある行為が一方にとって利益に、他方にとって不利益になる状態を利益相反といいます。
利益相反が生じている以上、成年後見人が本人の利益を優先して成年被後見人に不利益を被らせる可能性があります。
そのため、このような利益相反になっている場合、成年後見人は、成年被後見人の代理人として遺産分割協議に参加することはできません。
もちろん、本人(自身)の立場としては遺産分割協議に参加できます。
では、どのように手続きをすすめるべきかといいますと、他に成年被後見人を代理する人を選ぶ必要があります。
ここで選ばれる代理人は特別代理人と呼ばれます。
特別代理人とは、本来の代理人が代理権を行使できない又は不適切な場合等に、本来の代理人が行う当該職務を行う特別な代理人のことです。
特別代理人は、当該遺産分割協議について家庭裁判所によって選任されるため、どの協議が終了した時点で、特別代理人の任務も終了します。
特別代理人は特に資格も必要なく、利害が対立する等の事情がなければ誰でもなることができます。
家庭裁判所に特別代理人を申し立てる際、候補者を挙げることができます。
遺産分割協議の特別代理人申立てにおいては、利益相反を避けるため、相続人以外の者を候補者にする必要があります。
特別代理人申立ての際に、必要書類に加えて、遺産分割協議案も提出する必要があります。
成年被後見人に不利な内容であれば認められないのが通常です。
そのため、成年被後見人には法定相続分の取得分を確保するのが原則です。
例えば、相続人が妻、長女、長男の3名の場合で、妻が認知症で成年被後見人、長女がその成年後見人というケースを考えてみましょう。
妻と長女で利益相反が生じているため、特別代理人申立てが必要です。
そして、法定相続分は、妻が2分の1、長女・長男が各々4分の1です。
この場合、家庭裁判所に提出する遺産分割協議案は、亡くなられた方の遺産総額の2分の1を妻に確保した内容のものでなくてはなりません。
利害関係者等により、特別代理人申立書が家庭裁判所に提出され、特別代理人が選任されました。
そうすると、家庭裁判所より、選任証明の書類が送付されます。
その後、あらかじめ裁判所に了承を得ていた遺産分割協議案について、他の相続人とあわせて特別代理人が署名・実印押印します。
以上で、遺産分割協議書が完成し、遺産分割協議が終了となります。
このような場合、利益相反状態により遺産分割協議ができないことを確認します。
そして、遺産分割協議のため特別代理人申立てを行います。
その申立ての際に遺産分割協議案を既に決める必要がありますので、遺産分割内容を早めに決める必要があります。
このような場合、特別代理人が必要な遺産分割協議となり、通常の相続手続と異なった形になります。
当事務所のような相続専門家にまず相談することをオススメいたします。
執筆者 森俊介
行政書士森俊介事務所 代表行政書士
『相談者に寄り添う相続とすること』がモットー。触れた相談事例は2000件以上。相続を取り扱う司法書士・税理士・弁護士と連携しワンストップサービスを築く。各地でセミナー相談会を実施中。Youtube・Twitterでも相続・遺言情報を発信している。
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