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相続人の中に認知症の人がいるので相続を放置しようかと考えている


 相続人の中に認知症の人がいる場合、その判断能力を検査する必要があります。

 
場合によっては、認知症の方について法定後見申立てをしなければ、相続手続きを進められません。

 
詳しくは以下に記載されています。ご覧ください。
 




 そこで、相続手続き自体を放置することを考える相続人の方もいらっしゃいます。

 
相続手続きを放置した場合について、以下解説いたします。
 

 目次 

1、認知症の人がいることから相続手続きを放置したがるとき

 ・相続人や知り合いに後見人候補者がいない

 ・専門職後見人に申し訳ない

 ・認知症の人が相当高齢で状況も変わらない

2、相続手続きを長期間放置するに至った場合

 ・長期間放置しないつもりが・・・

 ・戸籍・附票等の必要書類収集

 ・遺産の散逸

 ・預貯金等の休眠口座の通知

 ・相続登記の義務化

 ・相続税申告・納付の期限

 ・法定相続分で分割するという手法

3、まとめ

 ・特に相続税の期限や相続登記義務化からは逃れられないの

 ・当事務所のような相続専門家への相談がオススメです

  1、認知症の人がいることから相続手続きを放置したがるとき

相続人や知り合いに後見人候補者がいない


 認知症の相続人がおり、判断能力が欠けていた場合、法定後見申立てを家庭裁判所に行うこととなります。

 
その場合、親族を候補者として申し立てれば、被後見人の財産額や状況によっては選任されます。

 
もっとも、親族が全員遠方に居住している等後見人に立候補できない事情がある場合、相続人が相続手続き自体を放置したいと考えることがあります。
 

専門職後見人に申し訳ない


 親族が後見人に立候補できない事情がある場合や、被後見人の財産額が大きい場合、専門職後見人が選ばれるのが通常です。

 
ですが、親族が専門職後見人と連絡・連携することが難しい、または被後見人の財産から報酬を支払うのが難しいという事情があることもあります。

 
そのような場合、後見人に就任する専門家に申し訳ないと、相続手続き自体放置したいと考えることがあります。
 

認知症の方が相当高齢で状況も変わらない


 認知症の相続人が90歳以上等相当高齢であって数十年施設暮ししていることがあります。

 
この場合、その方が同じ状況で亡くなられた後、2つの相続手続きを一気に進めるという方法もあるにはあります。

 
このように考え、相続手続き自体放置したいと考えることがあります。
 

親族・関係者らが今の状態を変えたくないと考えることも少なくありません

2、相続手続を長期間放置するに至った場合

長期間放置しないつもりが・・・


 認知症の相続人がいることを考慮し相続手続を放置した場合、長期間の放置は考えておりません。

 
もっとも、認知症の方が数十年健在等長生きされた場合、長期に渡って相続手続が放置されることになります。

 
一般的に、相続手続を放っておくと、権利関係が複雑化してしまいます。

 以下をご覧ください。

 

戸籍・附票等の必要書類収集について


 放置されている間に、相続人が死亡したり、転籍・婚姻・離婚・養子等戸籍に変動が生じたりすることがあります。

 このような場合、戸籍の収集がより大変になります。

 
また、戸籍の附票等保存期間が過ぎて取得できなくなってしまうこともあります。
 

遺産の散逸


 相続手続きがなされていないにもかかわらず、亡くなられた方の現金を生活費等に使用した場合、相続開始時の遺産の確定が難しくなります。

 数十年、同居親族の生活費や法要費用、家の修繕費等に使った場合、現金等の遺産額は不明確になる可能性が高いです。
 

預貯金等の休眠口座の通知


 金融機関によっては、亡くなられた方の口座がずっと使われていないもしくは凍結された状態として通知がなされます。

 
十年以上放置されているので何の返答もなければ権利を失うとの催促がなされることもあります。

 
もっとも、休眠口座であっても生かした状態のままにしてくれることもあり、金融機関によって対応は異なります。
 

相続登記の義務化


 2024年4月1日より、3年間登記を放置した場合、相続人に10万円以上の過料が科されることがある、とされます。

 
正当な理由があれば過料は相続登記義務化は免れますが、相続人が認知症であることは正当な理由にあたりません。
 

相続税申告・納付の期限


 相続税申告・納付の期限として、相続開始があったことを知った翌日より10か月間の期限があります。

 
相続人に認知症の方がいて判断能力に欠けていた場合でも、この期限に変わりはありません。

 
相続税期限を過ぎると延滞税等の税金が加わってしまうので、それを避けるために、法定後見申立て含む相続手続きを進める方もいます。

 
認知症の方の判断能力の検査、法定後見申立て、後見人選任、遺産分割協議と時間がかかります。

 
そのため、いったん法定相続分で相続税の申告・納税を行い、後日協議を行うこともあります。

 
一般的に、遺産分割協議の完了なしに法定相続分による相続税申告・納税が認められているのです。

 
この場合、後に、相続人間で遺産分割協議を完了し、申告・納税をしなおす(還付等受ける)こととなります。
 

法定相続分で分割するという手法


 認知症の相続人がいる場合、遺産分割協議を行うことが困難である点が問題となります。

 そこで、相続不動産において、遺産分割協議を行わず、法定相続分で分けるということもあります。

 
このようにすれば、遺産分割協議を必要とせずに名義変更できるためです。

 
もっとも、この場合、相続登記完了後の登記識別情報(今の権利証にあたるもの)につき、認知症の方の分は発行されないこととなります。
 

3、まとめ

特に相続税の期限や相続登記義務化からは逃れられない


 以上のように、相続人に認知症の方がいるため相続手続きを放棄しようとしても、相続税の期限や相続登記の義務化の問題が残ります。

 
金融資産についても、凍結された預貯金口座や株等が塩漬けになってしまいます。
 

当事務所のような相続専門家への相談がオススメです


 相続手続きは、相続ごとで様々な事情があり、認知症については専門家の意見が非常に参考になります。

 
そのため、当事務所のような相続専門家にまず相談することをオススメいたします。
 

執筆者 森俊介

行政書士森俊介事務所 代表行政書士 

『相談者に寄り添う相続とすること』がモットー。触れた相談事例は2000件以上。相続を取り扱う司法書士・税理士・弁護士と連携しワンストップサービスを築く。各地でセミナー相談会を実施中。Youtube・Twitterでも相続・遺言情報を発信している。

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2017年 行政書士取得

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