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◆ 相続開始後における預金調査の方法について解説いたします


 亡くなられた人の財産状況が把握できていないことは、よくあることです。

 
本稿では、亡くなられた人の預貯金口座の調べ方について詳しく解説いたします。

 
動画解説もぜひご覧ください。
 

 目次 

1、亡くなられた人の預貯金について不明点がある場合

 ・預金残高がいくらあるかわからない

 ・どこに預金口座があるかわからない

、預貯金の残高証明書発行について

 ・相続人1人で残高証明書を請求できる

 ・解約払戻し・名義変更する場合は相続人全員の同意が必要

 ・残高証明書発行の必要書類

 ・残高証明書・取引明細・利息計算書

3、金融機関での全店照会について

 ・金融機関の特定が必要になる

 ・居宅の遺品により手掛かりを探す

 ・所有していたパソコンよりヒントを得る

 ・過去の履歴書等より振込先口座を突き止める

 ・親族より共通の金融機関のヒントを得る

 ・地域に根付いた金融機関を考察する

、まとめ

 ・金融機関を特定して全店照会や残高証明書請求を行う

 ・当事務所のような相続専門家への相談がオススメです

1、亡くなられた人の預貯金について不明点がある場合

預金残高がいくらあるかわからない


 例えば、亡くなった人に相続人として子供3名がいましたが、全員別居状態でした。

 
そのため、亡くなった人の財産状況について把握している相続人がいませんでした。

 
ただ、昔からA銀行によく通っており、A銀行と取引はしていたと思われます。

 
このような場合、相続人としては、故人名義のA銀行口座の預貯金額がいくらなのか、その預金が普通預金なのか定期預金なのか等口座の種類も知りたいところです。

 
A銀行の窓口にて、相続手続きにおける残高証明書発行の手続きを行えば、死亡時残高や定期預金の有無・金額等を調べることができます。

 
残高証明書とは、相続開始時(死亡時)時点で発行相続時の相続財産としての残高を証明する書面のことです。

 
残高証明書は基本的に各支店窓口でも受け付けていますが、郵送で請求することも可能です。
 

どこに預金口座があるかわからない


 では、亡くなった人がどの金融機関(銀行や信用金庫等)と取引しているかさえわからない場合はどうでしょうか。

 
この場合、B銀行等、最悪金融機関名さえわかれば各金融機関での全店照会という調査を行うことで、支店名や口座情報を知ることができます。

 
もっとも、金融機関の目星については、亡くなった人の遺品等により推測するしかありません。
 

2、預貯金の残高証明書発行について

相続人1人で残高証明書を請求できる


 預貯金口座の残高を知るための残高証明書請求は、相続人1人で行うことができるのでしょうか。

 
これについては、裁判例において、亡くなった人の死亡時の残高証明書については、相続人全員の同意を要せず、各相続人で請求可能とされました。
 

解約払戻し・名義変更する場合は相続人全員の合意が必要


 ただし、当該預貯金口座の解約払戻し請求や名義変更請求については、相続人全員の同意が必要です。

 
遺産分割協議書を提出すれば、遺産の分け方を示した書類において相続人全員の署名・実印押印があり、各相続人の印鑑登録証明書の添付があるわけですから、相続人全員の同意があると認められます。
 

残高証明書発行の必要書類


 相続人の1人が、亡くなられた人(被相続人)の金融機関の残高証明書を請求するには、以下の書類が必要となります。

①亡くなった人の死亡が記載された戸籍謄本

 
相続開始後に発行されたもので、死亡記載が必要です。

 

②請求者が相続人とわかる戸籍謄本

 
亡くなった人と請求者(相続人)の関係性がわかるものが必要なので、戸籍が複数枚にわたるときもあります。

請求者の実印と印鑑登録証明書

 
重要な証明書の発行ですので、実印押印や印鑑登録証明書原本の提示を求められることが多いです。

請求者の本人確認書類

 
免許証やマイナンバーカード等、写真付きのものが要求されることが多いです。

残高証明書発行手数料

 
金融機関や口座数によっても異なりますが、残高証明書は数百円から数千円が一般的です。

 
残高証明書・取引履歴・利息計算書


 残高証明書の他に、取引履歴や利息計算書も相続人1人で請求することができます。

 残高証明書とは、相続開始時(死亡時)時点で発行相続時の相続財産としての残高を証明する書面のことです。

 取引履歴とは、過去最大10年間の入出金・振込引落としの記録したものです。

 利息計算書とは、死亡時利息がいくらかを計算したものです。

 取引履歴・利息計算書については、相続税がかかる場合に特に重要となります。

 
相続税申告の際には、過去の取引より相続財産の前渡しがないか、死亡時までに加わった利息がいくらか等を確認する必要があるためです。
 

3、金融機関での全店照会について

金融機関の特定が必要になる


 全店照会すれば、当該金融機関の全支店、全口座を調査できます。

 
ただし、日本の全ての金融機関は500以上あると言われています。

 
全ての金融機関にて全店照会するのは現実的ではないので、金融機関の特定が必要となります。
 

居宅の遺品より手掛かりを探す


 金融機関の目星をつけるために、亡くなった人の居宅のタンス、引き出し、金庫、財布カード入れ等を確認してみましょう。

 
通帳、カード、出入金明細等、金融機関に直接関係ある書類が見つかれば、そこから金融機関名を把握できます。
 


 他にも、(販促)郵便物、パンフレット、粗品(タオル・ボールペン)、名刺等から金融機関名を突き止めることもあるでしょう。

 
普段より付き合いのある金融機関より粗品を渡されることや、担当者に訪問され名刺を渡されることがあるためです。

 
そこに、金融機関名が記載されていれば、特定可能です。
 

所有していたパソコンよりヒントを得る


 亡くなった人がパソコンを所有していれば、そこに存するメール・パソコン履歴・ブックマーク等が手掛かりになることがあります。

 
特に、ネットバンクをされている場合、紙媒体の資料がほぼなくパソコン内のデータのみを残しているケースが少なくありません。

 
ただし、パソコン内で金融機関名のヒントを得ることのみを行うこととし、パソコン内で被相続人名義で取引しないようにしましょう。

 
隠れて遺産を動かしたと他の相続人達に疑われることにもなりかねません。
 

過去の履歴書等より振込先口座を突きとめる


 亡くなった人の履歴書や雇用関係書類もヒントになります。

 
かつて勤務していた会社より給与振込先が指定されている場合、当該金融機関の口座を作成しているためです。

 
ただ、勤務していたのが数十年前だとすでに書類を処分していることが多く、給与振込先の特定は難しいかもしれません。
 

親族より共通の金融機関のヒントを得る


 亡くなった人の配偶者・同居親族が利用している金融機関と、同じ金融機関を利用するケースも少なくありません。

 
私の相続相談の経験上、特に夫婦の場合は、同じ金融機関を利用している可能性が高いです。
 

地域に根付いた金融機関を考察する


 お住いの地域の地方銀行・信用金庫・JA等、地域に根差した金融機関を調査するのも有効でしょう。

 
付き合いで口座を開設するケースがあるためです。

 
すなわち、その地域での仕事の関係、人間関係で口座所有していることがあるのです。
 

4、まとめ

金融機関を特定して全店照会や残高証明書請求を行う


 以上のように、亡くなった人がどこと取引しているかもわからない場合は、金融機関を特定した上で全店照会を行うとよいでしょう。

 
一方、取引先の金融機関が特定できているが金額や種類を知りたいのなら、当該金融機関にて残高証明書の請求を行うべきでしょう。
 

当事務所のような相続専門家への相談がオススメです


 亡くなった人の預貯金の調査は、必要書類や記入書類もあるため、煩雑なものです。

 
また、漏れが生じると相続し損ねてしまうため、もったいないことになります。

 
このような事態を避けるため、相続専門家にまずは相談してみることをオススメいたします。
 

執筆者 森俊介

行政書士森俊介事務所 代表行政書士 

『相談者に寄り添う相続とすること』がモットー。触れた相談事例は2000件以上。相続を取り扱う司法書士・税理士・弁護士と連携しワンストップサービスを築く。各地でセミナー相談会を実施中。Youtube・Twitterでも相続・遺言情報を発信している。

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2017年 行政書士取得

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