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妻との死後内縁の妻と一緒に暮らしており、自分の死後、内縁の妻の生活を心配される方がいます。
そこで、「内縁の妻に遺産を渡す」旨の遺言書を記した場合、その内容通り相続させることができるのでしょうか。
本稿では、内縁の妻への遺言につき、その問題点・留意点について解説いたします。
動画解説もぜひご覧ください。
目次
・相続関係図付きの具体例
・遺言者・推定相続人・内縁の妻の状況
2、内縁の妻への遺言の問題点
・取得者が相続人ではないので遺贈となる
・遺言執行者の指定がある場合
・遺言執行者の指定がない場合
・遺留分について注意は必要
3、まとめ
・遺言書で遺産を内縁の妻へ渡すと書くことの問題点について
・当事務所のような相続専門家への相談がオススメです
上の相続関係図のような事例を想定してみましょう。
相続関係図とは、相続関係説明図ともいい、本来亡くなった人(被相続人)とその相続人の関係が一覧になってまとまっている表のことをいいます。
また、遺言者の遺言作成時点では、相続人は推定相続人となります。
遺言書の推定相続人は、亡妻との子である長男、長女の2名です。
遺言者の妻は、既に亡くなっています。
また、長男・長女は遺言者と別居して暮らしています。
一方、内縁の妻は遺言者と同居して暮らしており、今後も籍を入れないながらも共に生きていくつもりです。
このような状況で遺言者としては、同居して生活を共にしている内縁の妻に全財産を渡すつもりでした。
実は遺言者は、自分の死後の内縁の妻の生活・資金を心配に思っており、遺産を渡したいと考えていたのです。
内縁の妻としても、遺言者亡き後生活できなくなるのではないか、家に今まで通り住むこともできなくなるのではないかと不安でした。
内縁の妻というのは、法的には婚姻関係にある配偶者といえません。
そのため、推定相続人とはいえず、相続人以外に遺産を渡すという遺贈の扱いになります。
遺言書がない場合の相続だと、相続人以外の第三者に遺産を渡すことはできません。
遺言書を作成し相続開始後に使用されることによって、このような相続人以外の第三者に遺産を渡すことができるのです。
内縁の妻は、作成された遺言書の内容通りに遺産を取得することができます。
ただし、遺贈である以上、遺言書で遺言執行者の指定があるか否かが重要になります。
遺言執行者の指定がある場合
遺言書で遺言執行者の指定がある場合、その遺言執行者が遺言内容を実現しますので、内縁の妻に渡る財産の手続きも遺言執行者が行います。
ですので、内縁の妻としても遺言執行者と連絡をとって手続きを進めるだけで大丈夫です。
遺言書の性質
遺言書で遺言執行者の指定がない場合、そのままの状態だと財産を受取る人が各々手続きを行うことになります。
例えば、「A銀行預貯金を長男に相続させる」旨の遺言なら、当該預貯金の相続手続きは長男自身が行うことになるのです。
そして、相続登記を相続人以外の人に遺贈する場合、登記申請にあたって遺言執行者がいなければ、相続人全員の協力が必要となります。
内縁の妻に不動産を遺贈するとき、上記例の場合だと亡妻の子供たちの協力がなければ相続登記できないことになるのです。
遺言執行者が指定されていない場合、家庭裁判所に遺言執行者を申し立てるという手段もあります。
遺言者が多くの財産を内縁の妻に遺贈させたいと思っても、各相続人が生活のため最低限確保すべき割合である遺留分の制約があります。
上記の例でいうと、亡妻の子供たちに遺留分侵害額請求を行使される可能性はがあるのです。
このような遺留分を留意して慎重に遺言書を作成する必要があるでしょう。
以上の通り、遺言書によって内縁の妻に遺産を渡すことはできます。
内縁の妻は、その遺言書の内容通りに遺産を取得することもできます。
ただし、遺言執行者なしだと他の相続人の協力が必要になる場合があります。
また、他の相続人による遺留分侵害額請求もなされる可能性があります。
このように、内縁の妻への遺言書にはいくつか注意点があります。
せっかく残された方々のことを考えて遺言書を作成したのに、相続開始後に揉めてしまうことがあります。
そのような事態をできるだけ避けるために、遺言書の作成について、経験豊富な専門家の意見を聞きながら進めた方が安全といえるでしょう。
当事務所のような相続専門家にまず相談することをオススメいたします。
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執筆者 森俊介
行政書士森俊介事務所 代表行政書士
『相談者に寄り添う相続とすること』がモットー。触れた相談事例は2000件以上。相続を取り扱う司法書士・税理士・弁護士と連携しワンストップサービスを築く。各地でセミナー相談会を実施中。Youtube・Twitterでも相続・遺言情報を発信している。
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