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遺言者が、自身が契約者・被保険者である生命保険の受取人を遺言書で変更したいと希望することがあります。
このように生命保険の受取人変更を遺言書に記した場合、受取人変更を実現することができるのでしょうか。
本稿では、遺言書による生命保険の受取人変更につき、その問題点を解説いたします。
動画解説もぜひご覧ください。
目次
・相続関係図付きの具体例
・遺言者・推定相続人の状況
2、生命保険の受取人変更を書いた遺言書の問題点
・生命保険の性質(相続財産といえるのか)
・生命保険の受取人の指定
・生命保険の受取人の変更
・遺言書での生命保険の特定
3、まとめ
・遺言書に生命保険の受取人変更を書くことについて
・当事務所のような相続専門家への相談がオススメです
上の相続関係図のような事例を想定してみましょう。
相続関係図とは、相続関係説明図ともいい、本来亡くなった人(被相続人)とその相続人の関係が一覧になってまとまっている表のことをいいます。
また、遺言者の遺言作成時点では、相続人は推定相続人となります。
遺言書の推定相続人は、夫、長男、長女の2名です。
また、遺言書作成時点の生命保険の受取人は夫でした。
遺言者は、契約者・被保険者が遺言者、受取人が夫の生命保険をかけていました。
自身の死亡とともに夫が保険金を受け取ることになるという終身保険です。
ですが、今の遺言者の気持ちは違います。
実は世話をしてくれた長男に全財産を渡し、夫が受取人になっている生命保険の受取人も長男に変更したいと考えています。
生命保険については、受取人固有の財産であって、相続財産ではありません。
例えば、契約者:A 被保険者:A 受取人:B である場合、B固有の財産となります。
そのため、受取人変更ではなく、当該保険金をCに相続(遺贈)させると記載した遺言書は無効となります。
生命保険の受取人の指定
では、生命保険の受取人の指定はどのようになされるのでしょうか。
通常は、当該保険契約の締結時に受取人を指定します。
遺言書で生命保険の受取人を指定することは明文の規定がありません。
そのため、決まっていない生命保険の受取人自体を遺言書によって新たに指定することは避けた方が無難でしょう。
生命保険の受取人の変更
では、生命保険の受取人の変更は可能なのでしょうか。
これについては、一般的に、当該保険事故(終身保険の場合死亡)発生まで変更可能とされています。。
そして、保険法44条により、遺言書によって生命保険の受取人の変更をすることも可能と規定されています。
もっとも、保険法が平成22年(2010年)より施行されたため、それより前に締結された保険契約だと変更できないとされています。
ただし、保険会社の規約によっては、施行前に締結された保険契約でも受取人変更できる可能性があります。
また、保険法施行後に保険契約を締結した場合であっても、保険会社の規約が保険法に対応しているかも重要ですので、保険会社に問い合わせておきましょう。
そして、遺言書による生命保険の受取人変更があっても、新受取人がそのことを保険会社に伝えるより先に、旧受取人が保険金受取手続きをしてしまう可能性があります。
そのような事態を避けるため、遺言に残すなら、受取人や遺言執行者に生前伝えておくことを勧めます。
さらに、このような危険性を完全になくしたいのなら、遺言書による受取人変更よりも、生前に受取人変更を保険会社に伝える方がいいでしょう。
遺言書で生命保険の受取人変更を行う場合、「〇〇生命保険の受取人を長男に変更する」旨の記載だけだと不十分です。
生命保険の特定として、旧受取人・契約者・被保険者・契約日・保険会社・保険証書の番号を書いておきましょう。
以上の通り、遺言書によって生命保険の受取人変更を実現することができます。
もっとも、旧受取人が先に手続きしてしまうおそれがあります。
そこで、生前に生命保険会社に対して当該生命保険契約締結日・生命保険会社規約等の確認をしておくか、もしくは生前に生命保険の受取人変更をすませておくことを勧めます。
このように、遺言書には様々ルールがあり、実務上の問題点があります。
せっかく遺言書を作成したのに、相続開始後に手続きで使用できないという事態が生じることもあります。
そのような事態を避けるために、遺言書の作成について、経験豊富な専門家の意見を聞きながら進めた方が確実といえるでしょう。
当事務所のような相続専門家にまず相談することをオススメいたします。
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執筆者 森俊介
行政書士森俊介事務所 代表行政書士
『相談者に寄り添う相続とすること』がモットー。触れた相談事例は2000件以上。相続を取り扱う司法書士・税理士・弁護士と連携しワンストップサービスを築く。各地でセミナー相談会を実施中。Youtube・Twitterでも相続・遺言情報を発信している。
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