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◆ 遺産分割協議において法定相続分・遺留分を意識すべきかについて解説いたします
相続開始後、遺言書がないため相続人間で遺産分割協議をすることとなりました。
このような場合、遺産分割協議において法定相続分・遺留分を意識すべきなのでしょうか。
本稿では、遺産分割協議に法定相続分・遺留分は関係するのかについて解説いたします。
動画解説もぜひご覧ください。
目次
・具体例
・法定相続分に縛られる必要はない
2、遺産分割協議において遺留分は気にしなくていいのか
・具体例
・遺留分は気にしなくていい
・遺産分割協議における法定相続分・遺留分について
・当事務所のような相続専門家への相談がオススメです
上の図の例だと、相続人の法定相続分は、妻が2分の1、長男・長女が各4分の1となります。
法定相続分とは、相続人が取得する相続財産の民法に定められた相続割合のことです。
遺産分割協議とは、相続開始後に、共同相続人全員によって遺産の分割につき協議し、合意に至ることです。
その協議結果を書類にしたものが遺産分割協議書で、こちらに各相続人の署名・実印押印を行い、印鑑登録証明書を添付することで法的効力が生じます。
そのため、遺産分割協議の手続きもこの割合に従う必要があるように一見思えます。
実際、当事務所にも「法定相続分に従って分け方にしないといけないんじゃないの?」という質問は多くいただきます。
しかし、上の図に記載されている通り、遺産分割協議は法定相続分に縛られる必要はありません。
遺言書がない限り、遺産分割協議での各相続人の取得分は相続人間の話し合いに委ねられており、その協議結果も自由なためです。
法定相続分が関係する場面としては、協議がまとまらないときに法定相続分を目安として分けることはあります。
法定相続分で分割することになると、なかなかまとまらなかった相続であっても、相続人が納得することが多いためです。
また、協議がまとまらず遺産分割調停になったときは、法定相続分に従った調停結果、審判結果になることも多いです。
以上のように、法定相続分は法律で定められている割合ではあるものの、遺言書や相続人間の話し合いである遺産分割協議が優先し、揉めている相続で目安になることが実際は多いと覚えておきましょう。
上の例だと、相続人の遺留分は、妻が4分の1、長男・長女が各8分の1となります。
遺留分とは、相続人に最低限格押されるべき相続割合のことです。
そのため、遺産分割協議の手続きもこの割合を確保する必要があるように一見思えます。
しかし、上の図に記載されている通り、遺留分についても、遺産分割協議で気にしなくていいです。
遺産分割協議は、相続人全員の協議・合意によってどのようにも分けることができるためです。
遺留分が関係する場面としては、「全ての遺産を妻に相続させる」旨の遺言書がある等、遺留分割合が侵害され、そのことを相続人が主張したときです。
ちなみに、遺留分割合が遺言書で侵害されていても、そのことを相続人が主張しなければ問題になりません。
遺留分は当人のみが行使できる一身専属権と呼ばれる権利で、主張するか否かも、その当人次第なためです。
遺留分は相続人誰でも有するものではなく、兄弟相続の際の兄弟姉妹・甥姪は遺留分を有しません。
そして、遺留分侵害額請求は、相続発生及び遺留分が侵害されたことを知ってから1年で時効により消滅すると民法で定められています。
また、相続開始から10年経てば完全に請求できなくなる除斥期間も定められています。
以上のように、遺留分については遺産分割協議の際ではなく、遺言書の内容によっては問題となることを覚えておきましょう。
以上の通り、遺産分割協議においては、相続人間の話し合いによる結果が何より優先します。
法定相続分は揉めている相続で目安となることが実際は多いです。
遺留分については遺言書の内容によって問題になるものですので、遺産分割協議の場面では問題になりません。
相続人は、法定相続分に縛られることなく、また遺留分を気にすることなく、遺産の分け方を話し合いましょう。
遺産分割協議において、法定相続分や遺留分を気にされる方は多いです。
しかし、実際に問題になるのは通常の遺産分割協議の場面ではありません。
このように、実際の一般的な認識と、相続実務が異なっていることは少なくありません。
勘違いによって相続で損をしないため、相続専門家にまずは相談してみることをオススメいたします。
執筆者 森俊介
行政書士森俊介事務所 代表行政書士
『相談者に寄り添う相続とすること』がモットー。触れた相談事例は2000件以上。相続を取り扱う司法書士・税理士・弁護士と連携しワンストップサービスを築く。各地でセミナー相談会を実施中。Youtube・Twitterでも相続・遺言情報を発信している。
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